探求のある社会科の授業を目指して

関西の公立小学校で働いています。社会科の授業を楽しくするための授業ことを書いています。

社会科の人気⑨

 それでは、社会科の授業を好きになってもらうために、深い学びをするためにはどの方向を目指せばいいのでしょうか。簡単な解決策は、嫌いな理由の反対のことすれば良いですよね。「覚えることがいっぱいある」という理由で嫌いになる子どもたちがいます。この改善策は、

 

 社会科=覚える教科ではない

 

という意識改革を教師が持てばいいのです。少なくとも小学校の場合は、社会科は語句の暗記をたくさん必要とする教科ではありません。事実、中学・高校の教科書には重要ワードは太文字になっていますが、小学校の教科書はそうではありません。これは教科書会社が意図的にそうしているのです。(実際に教育出版の方に聞きました。)それでテストができるのか、という反論があると思います公立小学校の先生は(もちろん自作される先生もいますが)いわゆる「業者テスト」を買うことが多いです。社会科の業者テストは暗記した語句を書く設問はほとんどありません。複数の解答から一つ選んだり、線で結んだりすることが多いです。グラフなどの資料や写真から解答を選ぶ問題もよく出題されます。記述する場合も、例えば「地産地消」などのキーワードを用いて書く程度です。つまりひとつひとつの語句を新出漢字のように覚えるのではなく、その単元で大切なことを把握しているかどうかのテストになっているのです。授業では、その大切なことは何かを考える形の授業にしていけばいいと思います。

 アンケートの中に授業が好きな理由として複数の子が挙げていたのは、

 

 「なぜ、~なのか」を考えることが面白い

 

でした。アンケートのお願いをした先生に社会科の授業をどうしているかを聞いてみたら、「常に子どもたちに何かを考える工夫を入れた授業にしている」と仰っていました。子どもたちは、それらの問題を個人で、グループで話合って考えることが好きなのです。

「なぜ、~なのか」は、調べればわかることもあるでしょう。また、調べても話し合っても答えが出ない問いもあると思います。例え調べたらわかる問いでも、教師に調べなさいと言われて受動的に調べるのと、自分から調べたいと思って能動的に調べるのでは子どもたちの意欲が格段に違います。そして、それが「覚えなければならない語句」だった場合では定着度も全然変わってくると思います。一つひとつの語句を無機的に覚えるのではなく、なぜを問う授業の中で覚える必然性を持たせてあげられば最高の授業になります。次回から、具体的に単元の中で、なぜを問う授業ができるかを考えていきます。