探求のある社会科の授業を目指して

関西の公立小学校で働いています。社会科の授業を楽しくするための授業ことを書いています。

消防署①

教科書の問い

「わたしたちの市の消防署は、どこにあるのだろう」

         ↓

「なぜ、その場所に消防署があるのだろうか」

 

3年生では消防の学習をします。最初に自分の地域にどれぐらいの数の消防署・出張所があるか調べます。これは、各市町村のHPに住所が記載されていますので、市の地図を用意して、印を付けていけばいいと思います。印を付けていくとわかるのですが、近隣に消防署がいくつかある場合と、ひとつしかない場合など、ばらつきがあることが確認できます。これを子どもたちに問います。

 

「なぜ、地域によって消防署の数のばらつきがあるのか。」

 

予想される答えは。

 

・住んでいる人が多い、少ない

・家の数が多い、少ない

・お店(飲食店)が多い、少ない

・川や海の近くで水が多い

・山が多く、水が少ない

・キャンプ場があって外で火を使うことが多い

 

 

などでしょうか。それでは、法的にはどうなっているのでしょうか。消防庁の資料に詳しく書いています。市街地の規模で決まります。ここで定義されている市街地とは「建築物の密集した地域のうち、平均建ぺい率がおおむね10%以上の街区がひと固まりとなり人口1万人以上となっている区域」のこと指します。

 

消防署の数ですが、市街地の人口が

 

・ 1万ー3万人…1つ

・ 4万ー6万人…2つ

・ 7万ー10万人…3つ

・11万ー14万人…4つ

・15万ー18万人…5つ

・19万-22万人…6つ

・22万-25万人…7つ

・26万-29万人…8つ

・30万人…9つ

 出典 消防庁

となっています。寒冷地では、若干数が変わります。消防車の数も人口に応じて変わります。人口が5万人のときは、消防車は4台、10万人で6台、20万人で9台、30万人で14台となっています。

つまり、人口密度が高いほど消防署の数も、消防車の数も多く必要であるということです。

 それでは、自分たちの市町村はどこが人口が多いのでしょうか。3年生では自分の市町村の学習を1学期にします。そこで、おおよそ、例えば沿線に人がそんでいる人が多いなどを学びます。しかし、細かい数字までは学習しません。市町村のHPで調べれば、詳細なデータが出ている地域もあります。でも今度は数字が大きかったり細かったりしてそれを調べたところで、学習効果は低いと思います。かわりに消防署の近くにある「小学校の全校児童の数」を調べてみてはいかがでしょうか。学校の児童数は、教育委員会に聞いたらすぐ分かりますし、各学校のHPにも記載されていることが多いです。

実際に調べてみると、狭い地域でも人口密度が高い地域は、児童の数が多いですし、広い地域でも、人口密度が低ければ児童の数は少なくなるはずです。学校同士の数を比べてもいいですが、消防署の近くの学校の人数を足し算していった合計を比べたらさらに深まります。