探求のある社会科の授業を目指して

関西の公立小学校で働いています。社会科の授業を楽しくするための授業ことを書いています。

スーパーマーケット⑤

教科書の問い

「お客さんは、どんなことに気をつけて買い物をし、店はどのように工夫しているのだろう」

          ↓

深堀りした問い

「スーパーマーケットの店員さんは、どんな人に一番お客さんとして来てほしいのか。」

 

いよいよスーパー・マーケットの勉強も終盤に近づいてきました。ここでは、お客さんの立場にたった買い物の視点と、お店の工夫を学習します。教科書に記載されている事柄をみてみます。

 

○お客さんが買い物で気をつけていること

 

   ・少しでも安く買いたい。

   ・消費期限を見て買う。

   ・安全な食材を買うため、生産者や生産方法を見る。

   ・家族の人数に合わせて食材を買う。

   ・牛乳パックや食品トレーなどをリサイクルする(お店のリサイクルボ ックスに入れる)

   ・エコバックを持っていく。

 

○店の工夫

   ・新聞広告

   ・タイムセール

   ・新鮮さを確かめて古いものを取り除く。

   ・産地、生産者表示

   ・人数に合わせたカット野菜

   ・リサイクルボックスの用意、管理

   ・レジ袋の有料化(エコバックの推進)

 

お客さんと店の繋がりから、様々な事柄を対比させて記載しています。お客さんが気持ちよく買い物をしてくれたら店の売上も伸びるという構図です。ここでもう一歩踏み込んだ深い問いをあげます。

 

「スーパー・マーケットがターゲットにしている(来てほしい)お客さんはどんな人なのか」

 

お店の人たちは、どの層をターゲットとしているのかを考えさせてみたら 面白いと思います。一体どんな層をメインターゲットにしているのでしょうか。家族の中で考えると

 

     ・自分自身(小学生)

     ・お父さん

     ・お母さん

     ・兄・姉(中高大生)

     ・弟・妹(保育園、幼稚園)

     ・おじいちゃん。

     ・おばあちゃん

 

などでしょうか。一週間の中でだれが一番スーパー・マーケットへ行く機会が多いかを家族に聞いて話し合う活動を入れます。

詳しくデータで見てみます。まず、食料品を購入するお店について

 

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農林水産省2018年10月「買い物と食事に関する意識・意向調査」

 

食料品を買うお店は90%以上がスーパーマーケットです。八百屋さんなどの地元の小売店は4.3%に留まっています。注目は3.2%のコンビニでしょうか。最近、野菜を扱っているコンビニも増えていますね。

 

つぎに、スーパーマーケットへの来店方法は

 

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農林水産省2018年10月「買い物と食事に関する意識・意向調査」

 

78.3%のの人が自動車・バイクで来店していることがわかります。自転車も入れれば90%を超えます。

また、どのような年代、家庭構成の方が来店しているかを見ると、

 

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スーパー・マーケット白書2016   (全国スーパーマーケット協会)

 

年齢では20代よりも30代以上がおよそ1.7倍以上になっています。一人世帯よりも二人以上の世帯の方が多く食品・生鮮品を買っていることがわかります。3人以上の世帯がだけで50%になっています。二人以上の世帯だけをみるとおよそ80%を占めます。この事実から、やはりお店は「家族」のある世帯に来てほしいことが見えてきます。先の来店方法と組み合わせると、

スーパーマーケットに来店する人は

 

「家族があり、且つ乗り物を持つ人」

 

が多いことが浮かびあがってきます。では、週に何回ぐらいお店に行っているのでしょうか。これも、家庭で聞いてきてもらうことができるので、回数を授業で発表してもらい、平均をとってもいいと思います。データを見てみると、

 

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農林水産省2018年10月「買い物と食事に関する意識・意向調査」

毎日・2日に1回を合わせると44%割合になります。週に1~2回まで加えると96.5%にも割合が上がります。

買い物1回あたり使う金額を見てみると、

 

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農林水産省2018年10月「買い物と食事に関する意識・意向調査」

 

3千円~1万円を使う割合が72.5%に登ることがわかります。一万円以上使う割合も22.2%います。

 さらに、食事の用意方法を見てみると、

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農林水産省2018年10月「買い物と食事に関する意識・意向調査」

 

惣菜や弁当購入、または外食もするとはいえ、やはり、ほとんどの方が食材を調理していることがわかります。

 

それでは、誰が食事を作っているのでしょうか。少しデータが古いですが、マイナビで共働き夫婦にアンケートを取った結果、

 

 夫(男性) 1.0% (女性)7.0%

 妻(男性)79.0% (女性)77.0%

 夫・妻で半々 (男性)20.0%  (女性)16.0%

 

             調査時期: 2015年11月9日~18日

             調査対象: マイナビニュース会員

             調査数: 男性100名 女性100名 合計200名

             調査方法: インターネットログイン式アンケート

             出典 マイナビ

 

半々と答えた家庭も20%あるものの、やはり大きな割合で妻(母親)が作っていることがわかります。これは、共働き夫婦のデータです。専業主婦の家庭を入れるともっと大きな割合でお母さんが作っていると考えられます。

  ここまで見てみると、スーパーマーケットがメインターゲットとして考えている客層は、

 

  「(移動手段がある)お母さん」

 

と考えることができます。

こう仮定してみて、もう一度、スーパーマーケットで何が売っているかを考えたり、見学してもいいと思います。雑誌がおいてある店もあります。主婦向けの雑誌が多い気がします。それもお店側の戦略なのでしょう。このように「お母さん」に来てもらう工夫がいくつもあるのかもしれません。

また、なぜ、お母さんが食事を作ることが多いのかを話し合ってもいいと思います。これは現代の社会問題(家事の平等・子育て)にも対応しています。